中耳炎も疑おう
突発性難聴ということばは広い範囲の症状を含みます。ときにめまいや、耳鳴りをともないますが、症状の中心は「聞こえない」、です。
多くは内耳性といわれます。重度の難聴がある場合、その通りでしょうが、より軽度であったり、毎日のように変動する場合は、内耳の要因は少なく、中耳も疑うべきです。子どもの中耳炎を考えれば分りますが、中耳に炎症が起きても聞こえなくなるのですから。「耳の周囲や中が、ときどき痛む」なんて症状があると、内耳はそう痛くないはずですから、中耳炎を疑っていいでしょう。
病院で、鼓膜だけを見て、中耳は大丈夫というのは、早計かもしれません。耳の中で起きていることは、あまり分らないのです。軽度の中耳炎の場合、鼓膜からだけでは分りにくこともあるはずです。そして、子どもの滲出性中耳炎のように、抗生剤や炎症止めが効きにくい、いやらしい中耳炎も増えていると報告されています。
お体そのものの体力によって、炎症をとめていくことが大切になります。
例えば右の耳鳴りがひどい患者さんの場合。右耳の周囲と左を触診すると明らかな差があります。 私たち鍼灸師が言うところの「反応が出ている」わけです。つまりツボがハッキリと出ています。そこは治療対象なのです。
私たち鍼灸師は、
1、それぞれの方の症状
2、皮膚に反映されているツボ反応
この2点を注意深く観察し、鍼灸治療を行ないます。
炎症性以外にも、内耳のリンパ液の問題ももちろんあります。それは別の項目で考察しましょう。
中耳の圧力?
突発性難聴と診断される方の全てが内耳性とは思えません。
簡単に整理しますと、
1)音の物理的な伝わりの問題(主に中耳)
2)伝わった音を電気信号へと変え、脳へ伝える(内耳・神経)
このどちらかが疑われます。たしかに2)は内耳より奥の問題でしょう。しかし、音の伝わりの部分の不具合という方も多いように見受けます。
例えば、ある患者さん。常に耳鳴りに悩まされ、中程度の難聴もあります。ある日、かなり高い山(三千メートル級)への登山中にいきなり耳がスカッとし、「音も聞こえるし、耳鳴りも気にならなくなった」と教えてくれました。残念ながら下山後はもとに戻ったのですが・・・
登山で、一番耳に影響するのは気圧でしょう。われわれ健康な耳を持っているものでも、トンネルやエレベーターの中で耳がふさがるような感じをしばしば受けます。そこを抜ければ元に戻るのです。 この患者さんの場合、逆のことがおきている訳です。小さな炎症が原因となり、いつも中耳の内圧がおかしい場合、たまたま高い山の気圧が良く影響したと考えられます。
たとえ一時的にでも正常にもどったということは、神経的な問題ではなく、中耳の環境(つまり内圧の異常)を変えてやれば治る可能性がある、ということです。中度~高度難聴の場合、決して簡単ではないですが、希望を失わず必死に治療したいと思います。
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